91年のサーブ900ターボ。その16Sの程度のいいものをみつける。
3.2万キロ。3D。純正エアロとレザー。サンルーフ。
これで本体が120万。
随分相場より高いのだが、ワンオーナーの車庫保管だからこんなものだろうか。
乗り出して140.
予防整備にプラス10.磨きに5.HDDナビをつけて工賃込みで30.
ちょっとライトが暗い。天井がお約束で下がっている可能性もある。
つまり200弱でどうですか、ということなのだが、冷静に考えると16年前であります。
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ところで。
御多分にもれず、私はサーブが好きである。
一番格好がいいと思うのは900の前、99のラリー仕様というか、フロントにシビエのフォグをつけた奴だ。
80年代後半、いわゆるバブルの頃、サーブは青山界隈にかなりの数生息していた。
カタカナ商売の代名詞のようになっていたことがあったのだが、今は昔である。
当時のサーブは多分0-100kmが8秒台ではなかったかと思う。
最高速は案外に伸びて200kmを少し超えるかという記事をBMWとの比較で見た覚えもある。
ATの場合、実測は190程度だろう。3速なので煩いに決まっている。
加速について言えば、2リッターだからそんなものなのだが、0-100kmが6秒前半の車から乗り換えると、結構力が足りないと感じるかもしれない。
つまり、明白に古いのである。
高速の下りで飛ばしていると、フロアがゆらゆら揺れたことを思い出す。
ただ車というのは面白いもので、機能や性能だけで割り切れるものではない。
イメージを喚起する道具というものがあるが、どちらかというとこの年代のサーブの速い奴は、そのまま北の方へ走っていってしまうような印象がある。
日光近くまでは高速で、その後は下道を延々と走るというような。
誰もこない山道で、ぽつねんとシビエのスポットを照らしている。
煙草と水と、乾いた携帯食料をかじる。
それでどうにかするか、といえばどうにもならないのであるが、内包された屈折と独特の粗さのようなものが、簡単に言えばこの車の魅力であるような気がしている。
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