2007年02月16日

具体性について

黒崎@具体性について


例えばオウムに殺害された坂本弁護士は「血のイニシェーション」の詐欺性を問うている。
若い読者に説明すると、教祖麻原の血を飲むことによって、次のステージにゆけるという名目で当時のオウムは信者から金を集めた。その金額は100万円である。
これを江川氏の「救世主の野望」(教育史料出版会刊)から引用すると以下のようになっている。

「その理由を、オウム出版が出している『神通力-麻原彰晃は魅せた!』はこう記している。
血のイニシェーションを科学的に分析してみたら、どうなるでしょうか。京大の医学部で尊師の血液を分析してみたところ、血液中のDNAに秘密があったことがわかったのです。そこでは、尊師のDNAを体内に取り入れると、クンダリーニが上昇し、潜在意識が現れるということが明らかになりました」(前掲:13頁)

坂本弁護士は勿論、京大医学部に問い合わせる。
すると、京大医学部ではそうした実験をしたこともないという回答が医学部長の名前でよせられた。
そこから教団は様々な言い訳を弄してゆくのだが、平行してこの頃から「サンデー毎日」がオウムの反社会性を記事にもしてゆく。
その後のサンデー毎日編集長に対する攻撃も常軌を逸したものであった。

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坂本弁護士は、信仰の自由は当たり前のことだと考えていた。
であるから、オウムの教義そのものについては問うてはいない。
問題は、京大などの権威を騙って信者から多額の金銭を騙し取るという一般社会では許されない行為そのものである。つまりこれは詐欺であると。

つまり、信教の自由でも政治活動の自由でも、それは民主主義社会においては最低限度守られなければならない原則であるということを坂本弁護士は踏まえていた。
その上で、そのやり方、具体的な違法性を問うたのである。
オウムは「信仰の自由を守れ」の大キャンペーンを行う。
それは「宗教法人」になっていたからでからであるが、考えてみるとそれとても今の社会というものがあって始めて成り立つ「宗教法人法」を基礎としている。
この辺りの、自らの都合のいい時は社会常識や法に頼り、ある時はそれを平気で逸脱するというオウム特有の性格が滲み出ているのだが、それはさておく。

坂本弁護士はあくまで個別的な部分でオウムの欺瞞性を追及した。
宗教とは何か、その教義は。などということではなく、現行法にのっとって、そこから逸脱している欺瞞的行為、この場合には詐欺罪であるが、そこを突いていったのである。
具体性。
一般にそれが一番こたえる。
坂本弁護士、その家族全員が殺害されたのは、それから暫く経ってのことだった。中には一歳数ヶ月の幼児も含まれる。

#「夜話」中
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posted by 黒崎 at 07:46 | TrackBack(1) | 夜話 | 更新情報をチェックする

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家族が犯罪を犯したら
Excerpt: 家族が犯罪を犯したら 自分はなぜ止められなかったのだろうか と、悩む。 M氏にはそういう傾向はないらしい。
Weblog: ghost-2007の日記
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