2006年11月08日

夢もチボーも

黒崎@夢もチボーも


吾妻ひでおさんの「失踪日誌」を誰も居ない夜更け、ソファにひっくりかえって再読する。
吾妻さんと言えば一部マニアからは熱狂的な支持のある漫画家である。
SF奇想天外で特集号が随分と前にあって、若造の頃買った覚えがあった。

原稿落として失踪し、そのまま旅の人になる風景。
そこからガスの配管工になったりして、最後は家族にみつかる。
あるいはアルコール中毒になって病院に入る。
リアリズムで描けばどうしようもないところを、あの丸っこい絵でたんたか描いてゆくのだから仕方がない。
救い難いというか最後まで抜けないものは観察眼であって、どういう状態であっても眺めてしまう。自分の姿も見えるのである。

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そういえばつげ義春さんの漫画にも、最悪の事態の際に「夢もチボーもないですよ」とか主人公が言う場面があった。
本来は「夢も希望も」であるのだが、そこを「チボー」と書いてしまう。

これが作品を作品たらしめている距離感で、本人にとって最低最悪の状態というのは、その底に不思議なおかしみが潜んでいるものだからである。
つげさんの漫画については、権藤さんが仔細な論評を書いているが、端的に言えばなかなかの遊び人。その底にザラリとしたものを抱えている方であろうと私は感じている。

posted by 黒崎 at 17:37 | TrackBack(0) | 夜話 | 更新情報をチェックする

インディアンサマー

黒崎@インディアンサマー


十一月には、ともすると、神様がくれたのではないかというような快晴になることがある。
外に出て、散歩のひとつでもすればいいのだが、そう思う頃には夕刻で、結構な角度で夜は冷え込んでゆく。

ところで、BB氏が以下のように書いている。
http://d.hatena.ne.jp/BigBang/20061105/1162806624
しかるべく自分なりに動くと。
これは、巨大掲示板でBB氏の本名や所属が公開され、会社に右翼の街宣車がゆくだろうという告知がなされたことが直接の分岐点になっているものと思われた。
社会通念上、一定の限界を超えた訳である。

http://d.hatena.ne.jp/matsunaga/20061102
http://d.hatena.ne.jp/psycho78/20061107
他にも膨大にあるが割愛。
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私はBB氏の書いたこの部分に着目している。
>大量に書き込まれている不詳の人物のメッセージの単語や意味は、もはやこちらには何一つ伝わっていなくて、そのメッセージの山の向こうに身を潜めて隠れている人間の、心の形=思惑しか、伝わらなくなっています。

誠にその通りで、結局はひとりの人間に帰結してゆく。
二言目には名誉毀損を構成するとか、その要件は違うとか、あれこれ喧しいのであるけれども、それはそれ。
自分が今置かれた情況を客観的に把握していれば、それらに関わることすら致命的な損失だということが知れるのである。

posted by 黒崎 at 15:07 | TrackBack(0) | 夜話 | 更新情報をチェックする

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