「オウム特有の話術の集大成」
「オウム真理教の実態と『無差別大量殺人を行った団体の規制に関する法律』の解説」
(治安制度研究会編著:立花書房:平成12年 2000年発刊)に以下のような記述がある。
「信者の公判状況
組織犯罪に関与した信者に対しては、平成11年10月までに起訴された189人のうち、160人が懲役刑、86人が執行猶予付懲役となっている。(法務省まとめ)#
公判廷での信者は、地下鉄サリン事件における殺人・殺人未遂等6事件で起訴され(「従来の基準で言えば死刑以外にあり得ない」とまで言われながらも)無期懲役が確定(平成10年6月)した元医師・林郁夫(判決時51歳)にみられるように、判決において「凶悪な組織犯罪の全容解明につながる刑法上の自首にあたる供述をした」、「将来その組織犯罪防止に役割を果たした」との評価を与えられ、さらに他の被告の公判に証人出廷している例もある。
一方、地下鉄サリン事件等で八事件で起訴されている元教団顧問弁護士・青山吉伸(昭和35年生)にみられるように、「オウム特有の話術の集大成といえるやりとりで、責任転嫁と話題のすりかえ、自らこそが被害者との主張、120%の権利主張と社会的責任感の欠如、やたらと長い自己主張、前提を説明するフリのごまかし、教義や修行の話に持ち込む」といった特徴を見せる者もいると伝えられている(「週刊読売」平成10年11月29日号、もうひとつの証人席:江川紹子)」
(前掲:14頁)
#平成12年の段階であることに注意。
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前掲書は、その性格からして主に警察関係者にとっての定本、教科書のような存在である。
立花書房のサイトでは「公安・警備関係」と分類された中に位置していた。
http://www.tachibanashobo.co.jp/blog/category09/
さて引用部の後半、分かりやすくするために改行を加えてみる。
オウム特有の話術の集大成といえるやりとりで、
責任転嫁と話題のすりかえ、
自らこそが被害者との主張、
120%の権利主張と社会的責任感の欠如、
やたらと長い自己主張、
前提を説明するフリのごまかし、
教義や修行の話に持ち込む
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青山吉伸の公判の印象を、江川氏は端的にこうまとめている。
警備・公安関係者と江川氏は、必ずしも全ての局面で友好的であるとは言いがたい。
そのことを思い出していただけば、前掲書において、ほぼ例外的に本文中に引用されていることの意味もお分かりになるだろうか。
立場は微妙に異なっていても、上記指摘が一定の普遍・妥当性を持つものであることは言を待たないのである。
私はこの箇所を読んだとき、なるほどそういうことであるのか、と合点がいったことを覚えている。
今にして思い返せば、これらの指摘はほとんど全て、本件における松永氏の言に当てはまるものだった、という印象が濃い。#
#後の読者に。
「夜話」内 カテゴリー「豪雨の前兆」を遡るとその主要部分が理解される。
http://kurosaki-yowa.seesaa.net/category/3467066-6.html